【東大生が語る】食用金箔の効能・危険性・体への影響【有害?】
こんにちは、東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です
皆さん、この年末いかがお過ごしでしょうか
僕は某ウイルスの影響で帰省できず、一人部屋に引きこもってます()
今回は年末ということで、豪華な料理によく用いられる「食用金箔」の話をしていこうと思います
【最終更新:2021年6月26日 公開:2020年12月26日】
食用金箔の概要
金箔は世界中の料理で使われていて、主に豪華さを演出するために使用されます
日本では、贈答用のお酒や高級なお茶、おせち料理など特別な食品に使われてきましたが、最近ではソフトクリームやケーキ等のトッピングとして使われることもあります(金箔ソフト、是非食べてみたいです)
また、水分の侵入を防ぐために薬品に金箔をコーティングすることもあるそうです
法律上では「食品添加物」として扱われていて、日本食品化学研究振興財団の食品添加物リストにも掲載されています(※1)
食用金箔の安全性
続いて、食用の金箔を摂取して問題ないのかについて解説していきます
結論から述べると「食用の金箔は安全」です。安心して食べてください
完全な純金は体内で吸収されることなく、そのまま体外に排出されるため、人体に対する悪影響は全くないのです
わざわざ「完全な純金」といったのは一般的に市販されている金箔は金以外の金属も含むから。
具体的には銀や銅を含むことが多く、食用の金箔としては、4号色(金 94.438%、銀 4.901%、銅 0.661%)から認められています。
食用の金箔は基本的に基準を満たしていますが、工業用の金箔など銅を多く含むものは体への影響があるため、口にしないようにしましょう(ちなみに銅の耐容上限量 は7mg/日です ※2)
中には「体内で吸収されないって言うけど、胃液で溶けてガスが発生したりしないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが心配ありません
というのも、金は非常に安定な物質で、塩酸(胃酸の主成分)に溶けることはないからです。(金を溶かす酸については後述)
筆者が調べた範囲では、食用の金箔を食べて健康被害を出たという事例は、国内外の文献を探しても確認できなかったため、常識的な量であれば安心して食べていいと思います
なお、食品中の汚染物質について詳しく知りたい方は厚生労働省のこちらのページが詳しいです(※3)
金の効能・メリット
先述したように金は体に吸収されません
そのため、鉄や亜鉛など一部の金属と違って、栄養素としての効能は全くありません
また「金は体内のイオンと反応して電位を正常化する」との意見もあるようですが、金は安定なので体内で反応を起こすことはまずないでしょう
他にも「血行を促す」「老廃物の排出を促進する」「殺菌作用がある」「体の通電性を上げて老化を防ぐ」などの効果が噂されていますが、科学的根拠に乏しいものばかりで、基本的には効能はないと言っていいです
健康食品としてではなく、豪華な見た目を楽しむものとして捉えるのがいいと思います
なお、もし新たな研究結果が報告された場合には本記事にて追記する予定です
市販の食用金箔と価格
中には「高価な金を食べるなんてもったいない!!!」と感じる方もいるでしょう
実際、わずか1cm立方の金(約19.3g)は約13万4千円もします(執筆時点での相場で計算)
しかし市販の金箔(10.9cm四方10枚入り)の価格を見てください
わずか4752円(税込、記事執筆時)です(いや高いけど、さっきのと比べると安く感じますよね?)
なぜ、あれほど高価な金が、こんなに安価で売られているのでしょうか
それは、金は非常に薄く伸ばすことができるから。
金は全ての金属の中で最も薄く延ばすことができ、1gであれば面積では数m2まで、長さでは約3000mまで伸ばすことができるそうです
高価な金を薄く伸ばすことで比較的安い価格で提供できているってわけですね
まとめと豆知識
今回の記事では「食用金箔の安全性と効能」について紹介しました
「金は非常に安定な物質で体への悪影響はない」ということ「金を食べるメリットは特にない」ということがお分かり頂けたかと思います
念のために言っておきますが、金は安全というのは常識的な量を摂取した場合に限るので、「金塊を丸呑みして窒息死」とかいう可能性は否定できませんので気をつけましょう(そんな人いないとは思いますが…)
「金」に関する豆知識
先程述べたように金は胃酸に含まれる塩酸 など通常の酸には溶けませんが、濃硝酸と濃塩酸を体積比1:3で混合した溶液「王水」には溶けます(カッコいい名前ですよね)
金と王水を巡ってはある逸話が存在します
それは1940年、デンマークでの出来事。化学者・へヴェシーはノーベル賞受賞者の友人2人(ラウエとフランク)からノーベル賞のメダルを預かりました
ラウエとフランクはナチスに刃向かったために亡命することになり、その際メダルを没収されることを恐れてへヴェシーに託したのです
しかし、しばらく経つとデンマークにもドイツが侵攻し始め、へヴェシーまでもが亡命する羽目になりました
当時デンマークでは金を国外に持ち出すのは禁止されていました。ですが自宅に置いたままだと没収されるのは目に見えています
そこでへヴェシーは金のメダルを王水に溶かすことを思いつきました(さすが化学者です)
化学の知識を持たない人からすれば、まさか液体に溶けているなんて思いもよらないでしょう
実際、亡命から帰ってきて確認すると金は王水中に残ったままでした
その後、この出来事を知ったノーベル財団は、王水に溶けた金を使って新たなメダルを作り直してくれたんだそうです
ちなみにへヴェシーさん自身も1943年のノーベル化学賞を受賞しています
【yagocode0:eqqmp://vxdlhlol-ixy.zlj/zlab-fkqolarzqflk/】
参考文献・画像等の出典
本記事を書くにあたって以下の資料を参考にしました。ありがとうございました。
※1 日本食品化学研究振興財団 2014年既存添加物名簿収載品目リスト:
https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/2014/02/C3F4C591005986D949256FA900252700.html
※2 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年)版):
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf
※3 厚生労働省 食品中の汚染物質の情報:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kagaku/index.html
ツキオカフィルム製薬株式会社HP:
https://www.moonhill.jp/gold/faq/
堀金箔粉株式会社HP:
https://www.horikin.co.jp/qa/q08.html
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ご精読ありがとうございました。本記事が皆様のお役に立てば幸いです。
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以上、東大生の西片でした!
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