【危険?】内釜が剝がれた場合の対処法、健康被害【内釜だけ購入可】
ヤゴコロ研究所に訪問いただきありがとうございます。東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です
今回は炊飯器(炊飯ジャー)の内釜がはがれてしまた場合の対処法について語っていこうと思います
健康に問題はない?
フライパンのパッケージに「テフロン加工」とか「フッ素加工」とか書いてあるのを見たことがあるかと思いますが、あれと同じ加工が炊飯器の内釜にも施されています
テフロン加工に使わるのは「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」という物質。「フッ素樹脂」などと呼ばれます
この物質を金属表面に塗布することで、焦げ付きを防いだり、金属と食品が化学反応を起こしたりするのを防いでいるわけです(詳細な仕組みは本記事の後半で)
↓テフロン加工の主な効果
- 耐熱性
- 耐薬品性
- 耐腐食性
- 低摩擦係数
フッ素樹脂は非常に安定な物質なので、調理中や体内で化学反応をすることはまずありません
つまり、剝がれてしまったフッ素樹脂を口に入れても何の問題もないということです
↓パナソニックの公式サイトでも「問題ない」と明記されています
内釜のフッ素加工がはがれますと、ご飯がこびりつきやすくはなりますが、機能面・衛生面には問題ありません。また、はがれたものをご飯と一緒に食べてしまわれても、人体には吸収されずに排出されます。
↓タイガーのQ&Aにも同様の内容が書かれていました
Q. 内なべのフッ素加工がはがれて、それを食べてしまったかもしれないのですが、害はないですか。このまま使っても大丈夫ですか。
A. フッ素樹脂は万が一口の中に入っても吸収せず排出されますので、 体には害はありません。ご安心ください。また、フッ素加工がはがれても、ごはんがこびりつかなければそのままお使いいただけます。
健康上の問題は特にないので、そのまま使い続けていても大事には至りません
しかしながら、摩擦を抑えるためのテフロン加工が剥げてしまうと、当然お米がこびりつきやすくなります
また、炊き込みご飯なんかを作る場合には、汁と露出した釜の表面が反応するおそれがあります
損傷が激しい場合には素直に買い替えるのが無難でしょう
※「テフロン」「フッ素樹脂」「フッ素」など様々な用語が使われていますが、成分的にはすべて一緒です。テフロンはアメリカの大手化学メーカー「デュポン」の登録商標となっています
内釜だけで売ってる
「内釜がちょっと剥げただけで炊飯器を買い替えるのはなぁ…」と思う方もいるかもしれませんが、実は内釜だけ買い替えることも可能です
象印やタイガー、パナソニックといった主要メーカーであれば、Amazonや楽天などのECサイトでも内釜が売っています
各社の内釜は下記のリンクから購入可能です(検索結果に飛びます)
↓象印の内釜
↓タイガーの内釜
↓パナソニックの内釜
なお、同じメーカーの製品でもサイズや形に違いがあるので、購入前に型番をチェックしてから買うようにしましょう
内釜を長く使うための方法
内釜を傷つけないためのコツがパナソニックの公式サイトに載っていたので紹介しておきます
フライパンを使う際にも役立つ知識だと思うので、知っておいて損はないでしょう
金属を使って洗米しない
お米は手で洗うのが一般的ですが、中には「泡だて器」や「ざる」を使って洗う方もいらっしゃるようです
確かに素手でお米をとぐのは冷たいですし、人によっては「なんとなく汚そう」と思うかもしれません
だからといって金属でできた器具を使ってしまうと内釜を傷つける原因となってしまうので、手や硬くない器具を使って洗うようにしましょう
内釜を優しく洗う
内釜を洗浄するときにも注意が必要です
金属たわしやナイロンたわし、スポンジの研磨部分で内釜をこすると、テフロン加工が台無しになってしまう可能性が高くなります
内釜の汚れを取る際には、やわらかいスポンジを使うようにしましょう
酸性の調味料・塩分の多い調味料に注意
Panasonicの公式サイトによれば「梅干や酢、しょう油など、酸や塩分の多い調味料を使ったご飯を保温すると、内釜のフッ素加工が腐食する原因になる」そうです
特にこれらの食品をいれた状態で長時間保温しておくとダメージが大きくなるとのこと。炊き込みご飯等をよく作る方は注意してください
内釜にスプーンや食器を入れて浸け置きしない
これは僕も以前やっていたのですが、洗い物の際に内釜にスプーンや食器などを入れておくのもよくないそうです
キッチンが狭いとどうしても重ねたくなりますが、長い使うためにはこうした配慮も必要になってきます
しゃもじで内釜のふちを叩かない
これも結構やりがちだと思うのですが、しゃもじにへばりついたお米を内釜のふちで取ろうとするのも良くないみたいです
余談:フッ素樹脂が使われる化学的理由
一応、化学を扱っている(扱っていた?)ブログなので、「なぜフッ素樹脂が使われるのか」についての化学的背景も紹介しておこうと思います
先ほど紹介したようにテフロン加工に使われるフッ素樹脂は「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」という正式名称をもっています(↓化学式)
化学式から分かるように炭素(C)にフッ素(F)が結合した構造となっています(nは大きい整数。いわゆる高分子・ポリマーです)
知っている人も多いかもしれませんが、フッ素の電気陰性度はすべての元素の中で最高。つまり、めちゃくちゃ電子を寄せ付ける能力が高いということです。
となると、一度他の原子と反応して電子を奪い取った場合、その電子を離そうとしなくなります。
これにより、新たな反応が起こりにくくなるので、上から調味料をかけても化学反応が進まないようになるわけです
この反応のしづらさ(=安定性)が耐腐食性・耐薬品性といった性質に関与してきます(ザックリとした説明ですが許してください…)
あと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の安定性が強い理由として「らせん構造」が関係しています
ポリエチレンのような炭素(C)と水素(H)でできた高分子の場合、水素が小さいので炭素に結合した水素同士が触れあうことはありません。一方、フッ素原子は水素原子よりも大きいため、互いに反発し合います
その結果、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のフッ素は30°ずつズレながら重なることになり、全体としては「らせん構造」をとります
多数のフッ素がらせんを描きながら炭素鎖を覆いつくしているので、他の化学物質が内部まで侵入するのは難しいです。これが高い安定性につながっています
説明が雑になってしまいましたが、調理器具にテフロン加工が使われるのは上記の性質に起因する安定性が関わっているということです