【東大生が解説】貧乏ゆすりはなぜ起きる?原因と意外な効果【メリット・デメリット】
こんにちは、東大生ブロガーの西片(プロフィール)です
座って作業をしていたら机を揺れ始め、気付いたら貧乏ゆすりをしていた、なんて経験ありませんか?(僕はよくあります)
「他人に迷惑がられるから止めたい!」と思っていても、気を緩めると無意識のうちに再開してしまう
今回はそんな貧乏ゆすりの原因と、貧乏ゆすりをすることでもたらされる効能についてまとめてみました
【最終更新:2021年6月26日 公開:2020年11月22日】
貧乏ゆすりの概要と由来
「貧乏ゆすり」とは、座っている時などに、体の一部(特に膝)を小刻みに動かす行為のこと。無意識のうちに行われることがほとんどで、日本のみならず世界中で悪癖とみなされることが多いようです。
名前の由来は諸説ありますが「衣服や食料に困っている貧乏人が寒さや飢えから震える様子から命名された」「高利貸しが貧乏人から取り立てる際に苛立って足を揺すっていたことからその名がついた」などが有力な説となっています
英語圏ではfidgeting, knee shakingなどと呼ばれることが多いみたいですが、日本語のように特定の名称が付けられているわけではないようです
原因
現在、貧乏ゆすりをする理由は完全には明らかになっていません。ここでは有力な説をいくつか紹介したいと思います
ストレス・不安
貧乏ゆすりの原因として最も有力と考えられているのが「ストレスや不安」
実際に、精神的に強い負担を抱えている時や何かに集中している時、物事を深く考えている時に貧乏ゆすりをするケースが多く見られます
体の一部を動かすことで緊張をほぐす役割があるのではないかと言われています
血流の滞り
「長時間座っていることで起きる血流の滞りを解消するために貧乏ゆすりが行われる」という説も有力です
実際、貧乏ゆすりをすることで血流がよくなるとの報告もあります(後述)
病気(RLSなど)
レストレスレッグス症候群、通称RLSという病気により、身体を動かさずにはいられないという場合もあるようです
ただ、RLSが原因で起こる場合は脚に虫が這うような異常な感覚を伴うことが多く、「眠ろうとしても脚を動かしたいという欲求のせいで眠れない」といった通常の貧乏ゆすりとは異なる症状が見られるので、たまに無意識的に貧乏ゆすりをする程度であれば心配する必要はないと思います
他にも「脚の後ろ側が椅子に当たることで筋肉が収縮し、反射的に収縮運動が起こるため」「取りすぎたカロリーを消費するため」など様々な説があるようです
メリット・効果・効能
一般的に行儀が悪いとされ、ネガティブなイメージを持たれることの多い「貧乏ゆすり」
貧乏ゆすりが治らず困っているという話はよく聞きます
その一方で、「貧乏ゆすりは健康に良い」なんて話もテレビ・雑誌等で耳にします
そこで貧乏ゆすりにはどのような効果があるのか調べてみました
英語圏での一般的な呼称が定まっていないことから想定できたことですが、貧乏ゆすりの効能に関する研究はあまり行われていないようです
論文を探してみても、ストレスと貧乏ゆすりの関係について研究したものは多く存在するのですが、貧乏ゆすり自体のメリット・デメリットに関しての文献はあまり見つかりませんでした(詳しい方いらっしゃいましたら情報提供お願いします)
しかし、少数ながら参考になりそうな研究結果を見つけることができたので紹介していこうと思います
死亡リスクの低下
貧乏ゆすりの効果として「死亡リスクの低下」が期待できるようです
一般的に長時間イスに座っていると、血流が悪くなり、死亡リスクが上がると言われています
しかし、1999年から2002年にかけて1万人以上のイギリス人女性(37-78歳)を対象に行われた実験(※1)によると、日頃から貧乏ゆすりをすることが多いグループでは、長時間イスに座る生活を続けても死亡リスクが上昇しないことが判明したのです
ただ引用元にも書かれているように、今後さらに実験を行って効果がどれほどなのか確かめる必要があるといえます
むくみ・冷えの解消
貧乏ゆすりにより「むくみ・冷えが解消」するという効果も期待できます
国立長寿医療研究センターの中村昭範・脳機能診断研究室長が行った実験(※2)では、被験者4人に貧乏ゆすりをしてもらったところ、全ての被験者の皮膚温度が上昇。平均で約2度、最大で3.3度上がったそうです
これは貧乏ゆすりにより下半身で滞っていた血液が流れやすくなるためで、これにより、むくみや冷えが解消される可能性があります
エコノミークラス症候群の予防
長時間同じ体勢でいると血行不良が起こり、血栓(血液の固まり)ができやすくなります
この血栓が肺に詰まって様々な症状を引き起こす病気のことを「肺血栓塞栓症」といいます
飛行機の狭い座席に長い時間座った後、急に立ち上がる際に発症しやすいことから「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます(こっちは聞いたことのある人多いのではないでしょうか)
貧乏ゆすりをすることで、血行がよくなり血栓ができにくくなるため、エコノミークラス症候群の予防に効果があるようです
軟骨の再生
軟骨を培養するときに外から刺激を与えると成長しやすいという報告があります。
京都大学の秋山治彦准教授によると「貧乏ゆすりでも、軟骨を再生する効果が期待できる」そうです(※2)
まとめ
今回は貧乏ゆすりの原因と効能を紹介しました
(原因)
- ストレス・不安
- 血流の滞り
- 病気(RLSなど)
- 反射運動
- 過剰なカロリー摂取・運動不足
(効能)
- 死亡リスクの低下
- むくみ・冷えの解消
- エコノミークラス症候群の予防
- 軟骨の再生
世間一般的に行儀が悪いと非難される一方で、様々なメリットがあることが分かっていただけたと思います
ただ貧乏ゆすりに効能についてはメカニズムが不明なものも多く、今後更なる研究が必要だと言えそうです
「貧乏揺すり」に関する豆知識
現在、F1チーム「レッドブル・レーシング」の代表を務めるクリスチャン・ホーナーさんはレース中に貧乏揺すりをすることで有名なんだそう。
特に重大な局面において貧乏ゆすりが激しくなるとのことなので、やはり心理状態と貧乏ゆすりには深い関わりがありそうです
参考文献・画像等の出典
※1 Sitting Time, Fidgeting, and All-Cause Mortality in the UK Women’s Cohort Study:
※2 日本経済新聞『貧乏ゆすり、実は健康にプラスエコノミークラス症候群予防にも』:
https://style.nikkei.com/article/DGXDZO40249640X00C12A4MZ4002?channel=DF130120166090
日本呼吸器学会『エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)に関するQ&A』:
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=152
北海道薬剤師会『レストレスレッグズ (むずむすず脚)症候群』:
http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/H21-9.pdf
デスクワーク中に可能な運動として行う微小揺脚運動(貧乏揺すり):
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