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植物工場のメリット・デメリットと今後の課題

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こんにちは、東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です

近年、農業従事者の高齢化や異常気象による農産物への被害が深刻化しています

今回は農業が直面する様々な問題を解決する手段として「植物工場」を取り上げようと思います

【最終更新:2021年6月27日 公開:2020年11月28日】

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植物工場とは?

植物工場とは一般的に以下の特徴を持つ栽培システムを指します

  • 栽培環境を機器を使って制御する
  • 屋内で栽培する
  • 年間を通して計画的に栽培を行う

太陽光を用いて栽培する従来の農業と異なり、照明を利用して栽培するというのが植物工場の大きな特徴です。光だけでなく、温度や湿度、水や肥料、さらには空気中の二酸化炭素量までも緻密にコントロールします

土を使わずに直接水に根を浸す「水耕栽培」により生産するケースが多いのも特徴の一つです

建物内の閉鎖空間で栽培を行うことから「完全閉鎖型植物工場」などと呼ばれることもあります

なお、グリーンハウス等で太陽光を利用しながら栽培する方式を「太陽光併用型植物工場」と呼んで植物工場の一種とみなす場合もありますが、本記事では「完全閉鎖型植物工場」のみを植物工場として扱っていこうと思います

植物工場のメリット

続いて、従来の農業と比較した場合の利点について紹介していきます

収穫量・品質の安定

先程述べたように、植物工場では植物の生育環境を正確に制御することが可能です。

光ひとつとってみても、強度、照射時間、波長(色)を好きなように変えることができます

生育条件を最適化し、全ての植物を同じ環境下で育てることで、形・味・栄養素といった品質を一定に保つことができます

また、従来の農業では、日照時間が短かったり台風の被害に遭ったりすると収穫量が激減する場合がありますが、植物工場での栽培では天候に左右されないため、収穫量を安定させることが可能です

栽培期間の短縮・生産の効率化

最適な条件での生育が可能なため栽培期間が短縮する場合があります

例えば、リーフレタスを栽培する場合、冬期のハウス栽培では90日、夏の露地栽培では70日程度かかりますが、植物工場では30~40日で栽培できるそうです(※1

さらに年間を通して栽培できるので生産効率はかなり高いといえます

土地の利用効率が良い

従来の農業では太陽光が当たる場所でしか栽培できないため、利用できるのは土地表面のみですが、植物工場では照明を用いるので縦に重ねて栽培することができます

そのため同じ面積でも植物工場の方が格段に多く生産可能です

狭い土地でも栽培できるので都市部での生産も進められているようです

安全性が高い

閉鎖空間で栽培するため、外部から病原菌や害虫が侵入する心配がありません

また、土を使わない場合が多いので、土壌の微生物による被害も回避できます

そのため、農薬を使わずに済み、消費者としても安心です

また、植物工場は生産者から見ても安全性が高いといえます

例えば、従来の農業と違って炎天下での作業がないため、熱中症のリスクを抑えられます

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植物工場のデメリット

露地栽培と比べて植物工場が劣っている点について紹介していきます

コストがかかる

植物工場はまだ普及し始めたばかりなので設備生産が充実しておらず、初期投資にかなりの費用がかかるという難点があります

また、自然に頼ることなく、機械を用いて生育環境をコントロールするので、莫大な光熱費・水道代がかかってしまいます

その結果、露地栽培で育てた野菜に比べて価格が高くなってしまう傾向があります

品種が限られる

植物工場で栽培可能な植物は多くありますが、ビジネスとして考えた場合、効率よく栽培できる品種は限られてきます

例えば、トウモロコシのような高さのある植物は、多段栽培が難しいため、植物工場での栽培には不向きです

他にもトマトやナスのように実のなる野菜や、ジャガイモやニンジンといった根菜類は作りにくい傾向があります

需要やコスト面も考慮すると、植物工場に適しているのはレタスなどの葉物野菜で、実際に国内で稼働している植物工場の9割以上はリーフレタスなんだそうです(※2

現状と今後の課題

先程述べたように、気候の影響を受けないなどメリットも多い植物工場ですが、どうしても設備投資に莫大な費用がかかってしまい黒字化するのが難しいというのが現状のようです

LED照明のような消費電力の少ない設備に切り替えるなどして低コスト化が進められていますが、それでも露地栽培よりは割高になってしまいます

今後更なる効率化により露地栽培と同程度まで価格を下げる必要があります

レタス以外の生産が少ないのも問題です。一品目に頼った経営では需要の激減などの外部環境の変化に対応しづらいと思います

海外から輸入されている植物を国内で生産できるようになれば輸送コストがかからないので価格競争で有利になります

レタス以外の品種についても積極的に開発を進めて経営リスクを分散させることが必要です

領土が狭く食料自給率の低い日本にとって、土地の利用効率が高い植物工場は救世主になる可能性があります

まだまだ課題の多い植物工場ですが、今後の発展に期待したいと思います

本ブログ「ヤゴコロ研究所」では他にも科学・技術に関する話題を取り扱っているので、ぜひご覧ください

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以上、東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)でした!

参考文献・画像等の出典

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