科学技術

コンタクトレンズの種類と酸素透過性の仕組み【目の健康】

こんにちは、東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です

今回は「西方と学ぶ身近な科学」シリーズ第2弾として、コンタクトレンズを扱っていこうと思います

【最終更新:2021年2月10日 公開:2020年12月19日】

コンタクトレンズの種類

コンタクトレンズとは皆さん知っている通り「目に直接装着して視力を矯正するレンズ」

視力の良い人からしたら「コンタクトレンズなんてどれも一緒じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は色んな種類があります

コンタクトレンズは大きく「ハードコンタクトレンズ」と「ソフトコンタクトレンズ」に分けられます

ハードコンタクトレンズはその名の通り硬い素材でできたコンタクトレンズ。目を覆う範囲が小さいので目への負担が少ない反面、慣れるまでに時間がかかります

以前は酸素を通しにくいPMMA(ポリメチルメタクリレート)という高分子材料が使われていましたが、最近はシリコーンハイドロゲルなど酸素透過性の高い高分子が使われています

一方のソフトコンタクトレンズは水分を多く含み、柔らかく目に馴染みやすいのが特徴です。水分が蒸発しやすいため長期間使うには手入れが必要です

ソフトコンタクトレンズの材料としてはHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)が代表的です

酸素透過性のメリット

続いて先ほど登場した「酸素透過性」について詳しく説明していこうと思います

普通の細胞は血液によって運ばれて来る酸素を利用しますが、目の角膜には血管がないので空気中の酸素を取り込んでいます

そのため酸素透過性の低いコンタクトレンズを装着すると、十分な酸素を供給できなくなり、目が酸欠状態になってしまいます

実際、酸素透過性のないコンタクトレンズを使い続けると目が腫れる、痛みを感じる等の症状が現れます。目の健康を維持するためにはコンタクトレンズの酸素透過性が重要なのです

なお、酸素透過性の大きさは酸素透過率(Dk/L値)という数値を使って表されます。これは酸素透過係数(Dk)という物質ごとに異なる値をレンズの厚み(L)で割ったものです

※目への健康被害の原因としては、酸欠ではなく二酸化炭素を排出ができないためとする説もあります。いずれにせよ気体の透過性が重要になってきます

なんで酸素透過性に差があるの?

先程「シリコーン系の材料は酸素透過性があるけど、PMMAはない」といいましたが、その違いはどこから来るのでしょうか

「材料が違うから」と言ってしまえばその通りなのですが、ここでは各材料の化学的性質を考察することで酸素透過性の仕組みを解き明かしていきたいと思います

突然ですが、鉄でできた檻に閉じ込められている場面を想像してみてください。

鉄は固いので鉄格子を折ったり曲げたりできません。そのため、よほど上手い方法を使わない限り脱出は困難です

では、檻の素材が鉄ではなく伸縮性の高いゴムだったらどうでしょう。そうです。ゴムを引き伸ばして隙間から脱出できます

コンタクトレンズの酸素透過性もこれと同様に考えられます。

酸素(先程の例でいう”あなた”)は、目の中(檻の外)に行きたがっています。しかし、コンタクトレンズに含まれる網目状の高分子(檻)が行く手を阻みます。

この高分子の檻が固い場合には酸素は目の中に入れず、ゴムのように引き伸ばせる場合には酸素が網目をかいくぐって透過できるってわけです

では酸素透過性の悪い「引き伸ばせない高分子」とはどんな物質でしょうか

それは「電気を帯びていて互いに引き合っている高分子(*)」です。プラスとマイナスが引き合って強く結びついているので、結合を引き剥がして目の中に入りづらいのです

「電気を帯びている高分子(*)」の例として-OH基を持つ高分子が挙げられます

酸素Oは水素Hよりも電気陰性度が大きく電子を引きつけやすいので、酸素がマイナス、Hがプラスとみなせます。そのため-OHどうしが引き合って「固い高分子」になるのです

他にもCNやClなどの構造を含む材料は分子どうしが引き合って酸素透過性が低くなります

なお、コンタクトレンズを作る上では酸素透過性が高い方が望ましいですが、食品用の容器など酸素透過性が低い材料が好まれる場合もあります

例えば-OHを含むエチレンビニルアルコール重合体(下)は、酸素を通しにくく食品の劣化を防ぐため、マヨネーズの容器に使われています

*正確には「電荷の偏りのある極性分子」です

酸素透過性の高いコンタクトレンズの作り方

酸素透過性が低いと目の健康を害するので、酸素透過性の高いコンタクトレンズを作る必要があります

酸素透過性を上げる手段として以下の3つが挙げられます

  • 非極性分子を使う
  • 水を多く含ませる
  • 薄くする

1つ目は先程説明したように「分子どうしの結びつきの弱い材料を使う」という方法。

電気の偏りのない分子(非極性分子)を使うことで酸素透過性の高いコンタクトレンズが作成可能です

酸素透過性を上げる方法2つ目は「水を多く含ませる」というもの

水を多く含むと高分子間に隙間ができるので、酸素が目に届きやすくなります

3つ目は「レンズを薄くする」という方法

レンズが薄いと通り抜けるべき高分子の壁が薄くなるので酸素透過性が上がります

まとめ

今回の内容をまとめるとこんな感じです

  • コンタクトレンズは種類によって酸素透過性に違いがある
  • 酸素透過性が低いと目の健康を害する
  • 極性分子は分子間の結びつきが強く、酸素が中に入って行きづらい
  • 素材の酸素透過性を上げるには「水を含む物質を使う」「非極性分子を使う」「レンズを薄くする」などの方法がある

コンタクトレンズを選ぶ際の参考にしてください

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参考文献

三菱ケミカル ガスバリア講座:

http://www.soarnol.com/jpn/solution/pdf/beginner05.pdf

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以上、東大生ブロガーの西片でした!

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【略歴】田舎の公立中高→塾に行かずに東大理系に現役合格→2020年11月から本ブログの運営開始
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