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かまくらが暖かい理由を分かりやすく解説【イグルー】

ヤゴコロ研究所に訪問いただきありがとうございます。

東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です

突然ですが皆さん、かまくらを作ったことはありますでしょうか

僕は雪国育ちなので何度か作ったことがあります(今年も作りました)

かまくらに入ったことのある人なら知っていると思うのですが、かまくらの中って結構暖かいんですよね

でも冷たい雪で出来ているのに中が暖かいって不思議じゃないですか?

ってわけで今回は『簡単解説!科学雑学』第6弾として「かまくらが暖かい理由」を解説していきます

※理系向け記事はこちら→『西片と学ぶ身近な科学』

【最終更新:2021年2月13日 公開:2021年2月13日】

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かまくらが暖かい3つの理由

かまくらが暖かいのには主に3つの理由があると言われています

  1. 風を遮ることができるから
  2. 暖かい空気が循環しやすいから
  3. 雪には断熱効果があるから

1つ1つ詳しく見ていきましょう

理由1:防風効果があるから

まず1つ目の理由「風を遮ることができるから」

扇風機を使えば分かるように、気温が変わらなくても風が吹くと体感温度が下がります

体感温度\(T_m\)は以下の「ミスナールの式」で予測できます(ただし湿度\(h\)、風速\(v\)、気温\(t\))

$$T_m=37−\frac{37−t}{0.68−0.0014h+\frac{1}{A}}−0.29t×(1−\frac{h}{100}) $$

ただし\(A=1.76+1.4v^{0.75}\)

これを使って気温0℃・湿度50%の時の体感気温を計算すると以下のようになります(参考:風速の目安)

  • 風速0m/s(無風)の時、体感温度5.6℃
  • 風速2.5m/sの時、体感温度-7.6℃
  • 風速5m/sの時、体感温度-11.4℃
  • 風速10m/sの時、体感温度-14.8℃

風が強くなるほど体感温度が下がることがお分かりいただけるかと思います

かまくら内部の空間は周囲を雪の壁で囲まれていて、外気と接するのは出入り口1ヶ所のみ。

しかも出入り口が風下になるように作られることが多いので、内部はほぼ無風になり暖かく感じやすいのです

理由2:暖かい空気が循環しやすいから

たまに冬なのに扇風機をつけているご家庭があります。その場合、扇風機は部屋の上の方に取り付けられていることが多いです

暖かい空気は冷たい空気に比べて密度が小さく軽いため、部屋に上に移動しやすいという性質があります。上に溜まった空気を人がいる下の方へ送り返すために扇風機を設置しているのです

ちなみに、風を体に当てているわけではないので体感温度が下がることはありません

では、かまくらの場合はどうでしょうか

普通のかまくらは人がギリギリ入れるくらいの大きさしかありません。そのため暖められた空気は天井にぶつかって、すぐに下に戻ってきます

つまり、かまくらは非常に狭いが故に(扇風機なんか取り付けなくても)暖かい空気が循環しやすいのです。

理由3:雪には断熱効果があるから

氷の板と違って雪は多くの空気を含みます(雪がふわふわしているのは空気が含まれているからです)

空気には高い断熱性があります。そのため、かまくら内部の熱は外に逃げていきにくいのです

空気の断熱効果は身近な実験で体感できます。

空気で膨らませたポリ袋に手を突っ込んで、腕のところで塞いでみてください。徐々に暖かくなっていくのが分かると思います

これは手から放出された熱が空気によって袋の中に閉じ込められるため暖かく感じるのです

かまくらでも似たようなことが起こります。

体や七輪などの熱源から出た熱は、空気たっぷりの雪の壁を突破できずに跳ね返ってきます

こうして熱が逃げずに中に籠るので、かまくら内部は暖かいのです

ちなみに家の屋根に雪が積もって室内が暖かくなることを「かまくら効果」といいます。これも雪の高い断熱性によって起こる現象です

注意点

かまくらの中で火を使う際にはひとつ注意してほしいことがあります

それは「かまくらを密閉しないこと」です

出入り口を完全に閉じて空気の出入りを遮断してしまうと、一酸化炭素中毒になる恐れがあります

たとえ寒くても絶対に出入り口を閉じないようにしてください

「かまくら」に関する豆知識

カナダ北部に住む「イヌイット」の人々が作るかまくらは「イグルー(igloo)」と呼ばれています

イグルーは1.0m×0.5m×0.3m程度のブロック状に切り出された雪の塊を積み上げることで作られるそうです

同じ雪でも雪の種類によってイグルー作りに適するものと不適なものがあります

例えば、降ったばかりの新雪は最大で9割以上が空気で出来ているため、ふわふわしすぎてイグルー作りには向きません

一方、密に詰まった雪は風よけに優れていますが、重すぎて持ち運ぶのが大変です(中には1m3で数百キログラムのものもあるとのこと)

そのため、適度な密度の雪を選んでイグルー作りに使用するそうです

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以上、東大生ブロガーの西片でした

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