北極と南極どちらが寒い?東大生が解説します!
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東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です
今回は『簡単解説!科学雑学』第5弾として「寒さ」について解説していこうと思います
※理系向け記事はこちら→『西片と学ぶ身近な科学』
【最終更新:2021年2月10日 公開:2021年2月6日】
北極と南極の気温
突然ですが問題です。「北極と南極、どっちの方が寒いでしょうか」
「大して変わらないんじゃないの?」って思う方もいらっしゃると思います
しかし、南極と北極の年平均気温は20〜30℃も違うと言われています
では、寒いのはどっちか。先に答えを言ってしまうと「南極の方が圧倒的に寒い」のです
北極圏にあるオイミャコンという場所で観測された最低気温は-71.2℃なのに対し、南極(ボストーク基地)の最低気温は-89.2℃でその差は歴然
緯度で考えると日射量はそれほど変わらないはずなのに、どうしてこんなに差があるのでしょうか
北極より南極の方が寒いのにはちゃんとした科学的な根拠があるのです
南極の方が寒い理由
北極より南極の方が寒い理由は主に2つあります
1つ目は「南極の方が標高が高いから」
皆さん知っての通り、高い山の山頂は麓に比べてとても寒いです(山頂の雪はなかなか解けませんよね?)
標高が高い場所は気圧が低いので空気が膨張します。その結果、気温が低くなるのです
具体的には標高が100m高くなると気温は0.65度ほど下がるといわれています
南極の標高は平均で約2500mもあり、最大でも10m程度しかない北極と比べて圧倒的に高い位置にあるといえます。そのため南極の方が寒いのです
ちなみに南極で一番高い山はヴィンソン・マシフ山で、その標高は4892mとなっています(クイズ番組で出題されるかも?)
南極の方が寒い理由2つ目は「南極には陸地があるから」
南極大陸とは言いますが、北極大陸とは言いませんよね。実は北極には陸地がないのです
どういうことかというと、南極は陸地の上に氷が積み上がっているのに対し、北極は海の上に氷がプカプカ浮かんでいるだけなのです
この違いが気温の差に関わってきます
水には地面に比べて冷たくなりにくいという性質があります
そのため、陸地がある南極よりも海水で囲まれている北極の方が気温が低くなりにくいのです
ちなみに水には冷えにくいだけでなく、温まりにくいという性質もあります
物質の温度を1℃変えるのに必要なエネルギーを「比熱」というのですが、水は他の物質と比べて比熱が大きいことが知られています
物質 | 比熱(単位:J/ g・K) |
金 | 0.130 |
銀 | 0.234 |
銅 | 0.385 |
クロム | 0.419 |
炭素 | 0.691 |
石英ガラス | 0.710 |
アスファルト | 0.920 |
空気 | 1.251 |
水 | 4.182 |
例えば、クロムの比熱は0.419J/(g・K)なのに対し、水の比熱は4.182J/(g・K)なので、クロムの方が水より約10倍温度が変わりやすいといえます
なお「1mlの水の温度を1℃変えるのに必要なエネルギー(約4.18J)」=「1cal(1カロリー)」と定義されています。「カロリーの高い食品」などと言うときのカロリーです
京都の夏が暑い理由
ちょっと脱線しますが「京都の夏は暑い」といわれる理由も解説しておきます
先程説明したように、水は地面に比べて「冷たくなりにくい」&「温まりにくくい」という性質があります
これは「海から遠ざかるほど夏は暑く冬は寒くなりやすい」と言い換えることができます
ここで京都市の位置を見てみましょう
近畿地方の中でも内陸にあり、海から離れていることが分かります
そのため京都の夏は暑くなりやすいのです
ちなみに日本の観測史上最低気温は北海道の旭川で観測された-41.0℃
旭川の位置を地図で確認してみると北海道のど真ん中にあり、海から遠いことが分かると思います
こんな感じで内陸に行くほど気温の変化が激しいのです
南極も例外ではなく、南極大陸の中でも海に近い沿岸部より海から遠い内陸部の方が寒い傾向があります
まとめ
今回は南極と北極の気温の違いについて説明しました
- 南極の方が北極より断然寒い
- 南極の方が寒い理由は「標高が高いから」と「水よりも地面の方が冷えやすいから」
- 南極大陸の中でも、沿岸部よりも内陸部の方が寒い傾向がある
自然って面白いですね。自然に関する雑学は無数にあるので今後も紹介していこうと思います
以上、東大生ブロガーの西片でした!
『簡単解説!科学雑学』の他の記事はこちら
『西片と学ぶ身近な科学』シリーズの記事はこちら(理系学生向け)
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余談
今回の内容にはあまり関係ないかもしれませんが、ホッキョクグマの毛は白ではなく透明らしいです。乱反射によって白く見えてるだけなんだそう。
さらにいうと地肌は真っ黒で太陽光を吸収しやすいらしいです(もはや白クマではないですね)
もしホッキョクグマの毛持っている方いましたら透明かどうか確かめてみてください(普通持ってないと思いますが)
参考
国立極地研究所:
環境庁『南極キッズ』:
物体の物理的性質一覧:
文部科学省『水の性質と役割』:
気象庁『歴代全国ランキング』: