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雷の発生原理と夏に落雷が多い理由【冬季雷の概要も】

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ヤゴコロ研究所に訪問いただきありがとうございます。

東大生ブロガーの西片(@nskt_yagokoro)です

受験生の皆さん、共通テストお疲れ様でした。今年度は色々と変則的で大変だったと思います

大学受験とは全く関係ありませんが、『簡単解説!科学雑学』第3弾として「雷の発生原理」と「夏に落雷が多い理由」及び「冬に発生する雷」について解説していこうと思います

※理系向け記事はこちら→『西片と学ぶ身近な科学』

【最終更新:2021年2月10日 公開:2021年1月23日】

クリックできる目次

雷の発生原理

まず雷がどうやって発生するのか見ていきましょう

皆さん知っての通り、雷は雲の中で発生します

雲はとても小さな水滴や氷の粒の集まり。具体的には半径数μmマイクロメートルのものが多いようです(人の赤血球くらいの大きさです)

水滴や氷の粒はあまりに小さく軽いので、上向きの空気の流れ(上昇気流)があると簡単に浮きます

地表の水分が上昇気流にのって浮かび、高い場所でただよっているのが雲というわけです

雲の粒は水の場合もありますが、上空は非常に寒いので氷の粒に変化する場合もあります

この小さな氷の粒が気流にあおられて激しくぶつかり合うことで静電気が発生するのです

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氷の粒が衝突する時、小さい方の粒(氷晶)はプラスに、大きい方の粒(あられ)はマイナスに帯電します(※1)

そして小さい粒は軽いので上に移動。反対に大きな粒は雲の下の方に移動します

その結果、雲の上側はプラス、下側はマイナスという状況が出来上がるのです

ある程度電気がまってきて電位差が大きくなると「放電」が起こります

放電とは、本来電気を流しにくいはずの「絶縁体」に強い電圧がかかることで電気が流れる現象のこと。

雷の例でいうと、絶縁体である空気の間を、雲の下側に溜まったマイナスの電気が地面のプラスの電気に向かって移動します

こうして電気が空気中を移動する現象が「落雷」というわけです(※2)

なお、放電時に地面がプラスになっているのは、地面の中のプラスの電気が雲の下部に溜まったマイナスの電気に引き寄せられて地表付近に移動するためです

※1 氷晶がプラスに霰がマイナスに帯電する理由については1978年に高橋つとむ博士が発表した着氷電荷分離理論が有力視されています。長くなるので説明は省きますが興味のある方は調べてみてください

※2 雷にもいくつか種類があり、ここで紹介したものは熱雷という雷の発生原理です。熱雷の他に火山雷や界雷などがあります。また、雷の詳しい発生メカニズムは正確には分かっていないようです。本記事では有力な説を紹介させていただきました

夏に発生しやすい理由

雷の正体は「雲の中の小さな氷がぶつかりあって発生する静電気」と説明しました

しかし、どんな雲でも発生するというわけではなく、実は「雷を起こしやすい雲」と「そうでない雲」があるのです

雷を起こしやすい雲の代表格が「積乱雲せきらんうん」です。夏によく見られる雲で「雷雲」「入道雲にゅうどうぐも」などの別名で知られています

積乱雲は他の雲に比べて背丈が高く、時には12000mを超えることもあるとのこと

背丈が高いと上部と下部での電離が起こりやすくなるため、積乱雲で雷が発生しやすいのです

さっき言った通り、積乱雲は夏によく見られます。

積乱雲の多くは、太陽光によって温められた地面近くの湿った空気が上昇し、空高くまで昇っていくことで出来上がります

そのため、湿度が高く日差しの強い夏に発生しやすい傾向があります

まとめると、雷を引き起こす積乱雲が夏に多発するので「夏に雷が多い」のです

ちなみに気象庁が集計した月ごとの放電数は以下のようになっています(縦軸の目盛りに注意)

世界でも珍しい冬季雷

ちなみに日本海側では世界でも珍しい「冬季雷」という雷が発生します

冬季雷とは、その名の通り冬に発生する雷のことで、日本海側で見られるものは大陸から吹き出してくる寒気が日本海で暖められることで発生する積乱雲に起因します。

冬季雷は夏の雷に比べて落雷数は少ないですが、そのエネルギーは夏の雷の数十から数百倍といわれています

冬季雷が見られるのは日本海側沿岸部とノルウェー海沿岸部、および北アメリカの五大湖東側など限られた地域のみ。世界的にもな自然現象といえます

ちなみに先程「雷は夏に多い」といいましたが、石川県などの日本海側の地域では例外的に冬の方が多くなっています

豆知識

南米ベネズエラのマラカイボ湖に注ぐカタトゥンボ川の河口上空は雷が多く発生することで有名です(カタトゥンボの雷と呼ばれています)

2014年には、1時間に3600本もの稲妻が観測され、「世界で最も稲妻が多い場所」としてギネス世界記録に認定されたそうです

雷が多い理由として、日本語版wikipediaには「河口周辺の沼から発生するメタンが決定的な要因であることを突き止めた」と書いてあるのですが(2021年1月23日時点)、別の研究で矛盾点が指摘されていたりと真偽は不明のようです(詳しい方いましたら教えてください)

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ご精読ありがとうございました。本記事が皆様のお役に立てば幸いです。

SNSやブログ等で本記事を紹介していただけると記事作成の励みとなります

他にも科学に関する記事を書いているので是非ご覧ください

以上、東大生ブロガーの西片でした!

『簡単解説!科学雑学』の他の記事はこちら

『西片と学ぶ身近な科学』シリーズの記事はこちら(理系学生向け)

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参考文献

気象庁『雷検知数の季節的特徴』:

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-3.html

雷放電と積乱雲の科学:

https://www.sci-museum.jp/files/pdf/study/universe/2016/05/201605_04-09.pdf

北陸に冬の雷を追う:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/118/4/118_4_235/_pdf

フランクリン・ジャパン:

https://www.franklinjapan.jp/

音羽電機工業『雷放電現象』:

https://www.otowadenki.co.jp/basic4/

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